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世の中にはいろいろな単位があり、それぞれに測り方があります。測るための物差しを知ることは科学の第一歩だと思います。
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今回は火力をテーマにしましたが、エコや経済性といった観点で比べてもおもしろいと思います。
世の中には様々な単位があります。

天気予報などで気圧の単位として使われる[hPa](ヘクトパスカル)。
昔はこの単位の代わりに[mbar](ミリバール)という単位が使われていましたが、日本では1992年から[hPa]に統一されました。この2つの単位[hPa]と[mbar]は、名前と表記こそ違うものの意味は全く同じなので、無理なく移行できた稀有な例だと思います。少し種明かしをすると、[h](ヘクト)は100を意味する補助単位と呼ばれるもので、[Pa](パスカル)という世界標準の圧力の単位と、代々気象の分野で使われてきた圧力の単位[mbar]には、
1[mbar]=100[Pa]
という関係があったので、[hPa]として[mbar]と同じ大きさにした、という経緯があります。[Pa]と[mbar]は、目盛りの幅が違うだけで、圧力を測るという意味では同じ物差しです。インチとセンチも、長さを測るという意味では同じですね。目盛りの打ち方が違うだけです。

よく誤解を見受けるのは、電力の分野で使われる[kW](キロワット)と[kWh](キロワットアワー/キロワット時)です。電気の世界は目に見えないので、電気の世界の説明では電気を水の流れに例えますが、
[kW]は蛇口から今まさに出ている水の量、
[kWh]はやかんに溜まった水の量、
のような関係です。
この2つは全く相関のない別の物理量であり、つまり[kW]と[kWh]は測るものが違う物差しです。違う物差しだから、単純に比べることはできません。時間の概念を加えれば、両者を結びつけて考えたり比べたりすることができます。

さて、タイトルにしたガスコンロとIHクッキングヒーター(以下、IHコンロ)ですが、熱調理器具なので『火力』が気になるところですよね。ところがこの2つの調理器具の「火力」は、同じ物差しではない指標が公開されています。ガスコンロは、家庭用での最高火力を謳った商品は4000[kcal](キロカロリー)だそうです。IHコンロで家庭用のものでは、最大3.2[kW](キロワット)のものを見つけました。
この2つをどうやって比べればいいのでしょうか?数字の大きなガスコンロのほうが強い火力で、短時間で調理したり、中華料理が得意だったりするのでしょうか?

まず、ガスコンロの4000[kcal]ですが、これは正確には4000[kcal/h](キロカロリー毎時/キロカロリーパーアワー)です。このように、後ろの[/h]を省いた表現は他の指標でもよく見受けられます。
[cal]は熱量の単位で、物理の世界では使わなくなりつつありますが、食事のエネルギーを表す単位としては標準ですね。4000[kcal/h]はつまり、1時間に4000kcalの熱量を出すことができる、ということです。

IHコンロは3.2[kW]という火力ですが、[W](ワット)は仕事率の単位です。1[J](ジュール)という『仕事』を1秒でするとき、1[W]となります。
つまり、1[J/s]=1[W]です。
『仕事』は物理の世界ではものすごく大事な概念で、いわゆる『エネルギー』と密接な関係があるのですが、説明するとものすごく長くなるのでまたの機会に。

熱量[cal]と仕事[J]の間には、『熱の仕事当量』と呼ばれる
1[cal]=4.18605[J]
という関係が成り立ちます。

ここまでの内容をもとに、4000[kcal/h]と3.2[kW]を比べられるようにします。そのためには、単位をどんどん変換して同じ単位に揃える必要があります。IHコンロの3.2[kW]は、[W]=[J/s]という関係があるので、3.2[kW]=3.2[kJ/s]です。
次に、ガスコンロの単位を[kJ/s]にしていきます。まず時間を揃えます。1[h](時間)=60[min](分)=3600[s](秒)なので、1/3600[h/s]という時間の変換ができます。
つまり、
4000[kcal/h] × 1/3600[h/s] = 10/9[kcal/s]
で、1秒間に約1.1[kcal]の熱を出すことに等しいことがわかります。さらに、熱の仕事当量を使って、[cal]を[J]に変換します。
4.18605[J/cal]なので、
10/9[kcal/s] × 4.18605[J/cal] ≒ 4.65[kJ/s] ( =4.65[kW] )

これでようやく比較できる状態になりました。
4000[kcal]のガスコンロは、4.65[kJ/s] = 4.65[kW]
ということで、3.2[kW]のIHコンロより、4000[kcal]のガスコンロのほうが強力な火力であるとわかります。その比は4.65 : 3.2 ≒ 1.45 : 1 となり、約1.45倍、ガスコンロのほうが強力です。

まとめます。
ガスコンロの火力は[kcal]と表記されていますが実は[kcal/h]で、ガスコンロの火力に4.18605/3600を掛けると単位を[kW]に変換できます。ここまでが、同じ物差しで測る、というテーマの話です。

主題の話はここまでですが、なにか、ガスコンロ圧勝、という感じですし、もう一つ、重要な要素を最後にお示ししたいと思います。
それは、『効率』という指標です。

ガスコンロの4000[kcal/h]から導き出した4.65[kW]、それからIHコンロの3.2[kW]というのは、どちらも器具が1秒あたりに『生み出す』ことのできる熱量の話です。では、この生み出された熱のうち、いったいどれだけが『有効』に調理に使われるのでしょうか。

生み出された熱量のうち、どれだけが有効に使われたか、という指標が『効率』です。大阪ガス、東京ガスのサイトによれば、ガスコンロの熱効率は57%が最大のようです。また、IHコンロは最低79%〜最高90%程度のようです。

この効率を先ほどの指標にかけてみます。
ガス:4.65[kW] × 0.57 ≒ 2.65[kW]
IH:3.2[kW] × 0.79 ≒ 2.53[kW] 〜 3.2[kW] × 0.9 ≒ 2.80[kW]

このように効率を加味して有効に使われる指標に直した数値を『実効値』と呼んだりします。4000[kcal]のガスコンロの実効値は2.65[kW]相当、最大火力3.2[kW]のIHコンロの実効値は2.53〜2.80[kW]相当であるとわかり、4000[kcal]のガスコンロも3.2[kW]のIHコンロも実用上は大差ない火力であることがわかります。

この話は、あくまでもガスコンロ、IHクッキングヒーターの『火力』のみを取り上げて、違う単位をどうやって比べるかということを述べているだけです。その他の指標、例えばどちらが経済的であるかとか、どちらがエコであるかとか、そういった話はまた別の数値を引っ張ってきて検証することになります。

もしご興味のある方は、経済的にはどちらが得であるかとか、エコなのはどちらかとか、考えてみてください。
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Swift Playgroundsに一所懸命取り組んでくれています
第一回のプログラミングコース体験会を、Matsuo Nouen + Coffeeさんにて10月14日の13時半から17時半まで開かせていただきました。

体験会に来てくれた子たちにきっかけを聞いたところ、
・ロボットを操作してみたい
・ゲームが好きだから
の理由に2分されました。

ゲーム制作においては、制作の最初から最後まで、プログラマが重要な役割を担っています。
ゲームを考える人(プロデューサー)の企画を実現できるのか否かの検討から始まり、実際に遊べるゲームにしていく過程でも、最初から最後までプログラマは活躍しています。あるプログラマには実現できそうにないことでも、ある優秀なプログラマには実現できたりすることもあり、優秀なプログラマは引く手あまたです。

ゲームプログラマというわけではないですが、Googleは、ものすごく優秀なプログラマに時給にして1000ドル(1時間につき10万円)払っているという話があります。優秀なプログラマにはそれだけの価値があるということです。

ロボットは、日本が大きく前進している分野である一方で、AIの進化により利用シーンが爆発的に増えると考えられており、各国が大きな資金を投じて研究している分野です。
ロボットはメカ(機械)、エレクトロニクス(電気)、センサー(電子)、プログラミング(計算機工学/ソフトウェア)など、非常に多岐にわたる学問分野の集合体です。そのようなロボットを学習に利用することで、様々な機械的・電気的・物理的知識を高めてくれるという狙いを持てますが、それよりもずっと子どもたちにとって大事なことは、目の前のロボットたちが動き回るだけでも楽しんで貰えるということだと、今回の体験会で痛感しました。興味を引き出せるということは、その分野に踏み込んでもらう上で、この上なく大事なことだと思っています。
それから自分でたくさんプログラムを書いて、失敗して、やり直して、また失敗して、またやり直して、ようやくちゃんと動かせたときの嬉しさはひとしおですし、そういう試行錯誤の経験ができることはすごく大事なことに思います。